メス犬のマウンティングは何のため?犬の腰振りの理由とやめさせ方【2023年最新版】
犬のマウンティング(腰を振る行動)は人から見るとマナーが良いものとは言えませんね。去勢手術をしたにも関わらずマウンティングをしてしまったり、公共の場で他の犬や人にマウンティングをしてしまうことでお悩みの飼い主さんもいるかもしれません。そうなるとドックランなどに連れていくこともできず、犬も可哀そうですよね。
今回は犬のマウンティングをテーマに30年以上犬と暮してきたブリーダーが専門知識と経験をもとに【犬がマウンティングをする理由、疑われる病気、正しい対処法】をわかりやすく簡潔に解説していきます。この記事を読むことで「去勢手術をしてもやめてくれない」「雌(メス)犬なのにマウンティングする」そんなお悩みを解決できます。
・雄(オス)犬がマウンティングする理由
・雌(メス)犬がマウンティングする理由
・マウンティングを放置してはいけない
・マウンティングで疑われる病気
・間違えた対処法
・正しい対処法(やめさせ方)
・さいごに
雄(オス)犬がマウンティングする理由
・繁殖行動
犬がマウンティングする理由は様々ありますが、雄犬で最も多い理由が「繁殖行動」です。発情期の雌犬のフェロモンのニオイに反応して起こるのがほとんどで、その場合は赤みを帯びた性器が出てくるのでわかりやすいでしょう。これは❛赤ちん❜とも呼ばれ、性的興奮が収まると自然に内部に戻ります。興奮は性的興奮以外にも「喜び」「怒り」からくることもあり、メス犬がいなくても❛赤ちん❜状態になりマウンティングをすることがあります。発情期前の雄の仔犬がマウンティング行動をするのは遊びも兼ねた「繁殖行動の練習」です。
・優位性を示すため
人間の社会でもマウントをとるという言葉がありますね。犬のマウンティングも同じように「自分のほうが強い」と優位性を示すためにマウンティング行動をします。
・興奮している
興奮は性的興奮以外にも「喜び」「怒り」からくることもあります。メス犬がいなくても興奮すると、上記で説明した❛赤ちん❜状態になりマウンティングをすることがあります。遊びの最中や来客があったときに人にマウンティングをする場合は「優位性を示す」よりも、喜びからくる興奮が多いでしょう。
・暇つぶしやストレス発散
犬はストレスを発散するためにもマウンティング行動をします。このストレスは主に「運動不足」「環境への不満」「コミュニケーション不足」があります。また、退屈を感じると遊びの一環としてマウンティング行動をする場合もあります。犬は退屈を長く感じることでストレスになります。
雌(メス)犬がマウンティングする理由
雌犬のマウンティングは発情期と関係がないと思われるかもしれませんが、実は関係があります。上記で説明した通り犬のマウンティングは「興奮」からくるものが多く、雌犬も発情期になると興奮状態になることがあり、マウンティング行動に繋がります。また雌犬の発情期にはホルモンのバランスが不安定になり大きなストレスを抱えています。そのストレスを発散するため雌犬も発情期にマウンティングが増える傾向があります。そのため、雄犬も雌犬もマウンティング行動をする理由にはそんなに違いがないことがわかります。
マウンティングを放置してはいけない
犬のマウンティング行動は人と暮らす上でのマナーに外れるということだけではなく、いくつかの問題があります。マウンティングは仔犬のときに遊びながら出てくる行動ですが、早期にやめさせたほうが良い理由をあげていきます。
・癖がつく
マウンティングは仔犬の時期に遊びから始まり、行動期間が長いほど癖になります。そうすると犬自身でも辞められなくなります。時間がたつ程しつけで辞めさせることが困難になるため、マウンティングが始まり一週間くらいの短期間でやめさせることが理想です。
・怪我や病気の原因
犬のマウンティング行動は雌犬にするだけではなく、ぬいぐるみや家具、人の足にも行います。そのため性器に傷が付き怪我をしてしまうだけではなく、そこから感染症を引き起こす原因になります。雄の場合、精液で汚れてしまい衛生的にもよくありません。
マウンティングで疑われる病気
性器、性器周囲、足の付け根の怪我や皮膚炎などの不快感からマウンティングを行う場合があります。尿漏れや排泄の変化、気にして舐めるような様子が見られれば獣医師に相談することが必要です。
間違えた対処法
マウンティング行為を止めさせるために他で気を引こうとするのは良くありません。例えば「散歩」「ご飯」などです。犬のマウンティングは運動不足からくるストレスもありますが、マウンティングをしたから運動をさせるという行為は、犬にとってマウンティングをしたこと対する褒美だと捉えてしまうからです。ストレスを取り除くことは重要ですが、タイミングを計ることが必要になります。また叱りの意味を込めていてもコミュニケーションをとるのは良くありません。これも散歩へ行くのと同様、かまってもらえたことが褒美になるからです。
正しい対処法(やめさせ方)
まず一番大切なのが【去勢手術】です。去勢手術といえば妊娠や発情行為を防ぐために行うイメージがあると思いますが、それだけではなく発情によるストレスをなくす効果もあります。去勢手術をすることでマウンティング行為の主な原因の「興奮による発情行為」「ストレス」の両方を取り除くことができます。繁殖行動は動物の本能です。無理に叱ってしつけようとすることで発情期のストレスに加え、叱ったときのストレスが重なり犬の健康被害につながります。また、マウンティング行動は癖になることから、去勢手術後もやめられなくなることがあります。去勢手術は適した時期(生後半年~8か月頃)に行うことがマウンティングを予防するためにも効果的です。
下記では去勢手術後にしてしまうマウンティング行動のやめさせ方を解説します。
・人に対するマウンティング
一言で叱り、その場所から離れて無視することが大切です。飼い主のことが大好きな犬であるほど無視は犬にとっての「罰」になります。長く叱ってしまうこは良くありません。長く叱ることで犬は「コミュニケーションをとってもらえた」と思うからです。また、物理的な罰はもちろん長く叱ったとしても犬は恐怖で何に対して叱られているのかを忘れてしまうからです。根気よく マウンティングをすると構ってもらえないと教え込むことが大切です。
・ぬいぐるみやクッション
人に対するマウンティングと同様に一言で叱ります。そして片付けられるものなら片付けます。去勢手術後であれば、ぬいぐるみやクッションにするマウンティングは「癖」「退屈による暇つぶし」「遊び」「ストレスの発散」です。散歩や遊んであげる時間を増やしてストレスの発散をしてあげたり、長く楽しめるガムや知恵玩具を与えると効果的です。マウンティングの最中や直後に与えるのは褒美になってしまうので、こちらもタイミングを見極めることが大切です。
さいごに
マウンティングは犬にとって本能であり、正常な行動です。しかし、マウンティング行動をやめさせることは人間と暮らす上でのマナーであり、犬の健康を守るためにも必要です。悪いことをしている訳ではないので叱るということよりも教えてあげるという意識を持ち、犬にもストレスなくしつけをすることが大切です。