ゴールデンレトリーバー

【ゴールデンレトリーバーについて】

・歴史       
種類       
・大きさ      
・性格       
   
【飼育方法】

・犬の値段と飼育費用
・飼育難易度    
・食事       
・運動と散歩    
・病気       
・寿命       
・さいごに     

歴史

ゴールデンレトリーバーの産まれはイギリス。19世紀半ば鳥狩猟が盛んに行われていた。そこで、狩りのサポートとなる獲物の回収をするハウンティングドッグへの関心が集まるようになります。ブリーダーはハウンティングドッグの素質がある犬を掛け合わせて研究を重ねていきました。研究で活躍したのが「トィードマウス」イギリスの伯爵です。
ウェービー・コーデッド・レトリーバーとツイード・ウォーター・スパニエルを交配させ、4頭の仔犬が誕生しました。この中にいた黄色い仔犬がゴールデン・レトリーバーの祖先といわれています。この4頭は冷たい水にも飛び込める鳥狩猟の素質を持ち合わせていました。
その後、様々な犬種と慎重に交配され、フラット・コーデット・レトリーバーの黄色と呼ばれていましたが、1912年にイギリスのケネルクラブによって別犬種として登録されました。その名前が「イエロー・レトリーバー」または「ゴールデン・レトリーバー」です。そして1920年にゴールドの毛並みと回収という意味のRETRIEVER(レトリーバー)を合わせて「ゴールデン・レトリーバー」に名前が統一されました。

種類

ゴールデン・レトリーバーは2種類存在します。

イギリス系
「イングリッシュ・ゴールデン・レトリーバー」
アメリカ系
「アメリカン・ゴールデン・レトリーバー」

原産国のイギリスからアメリカに持ち込まれ、それぞれの国で改良されたのが2種類にわかれた理由です。



イギリス系のイングリッシュ・ゴールデン・レトリーバーはクリーム色の毛色が特徴。毛並みはやや短く、緩いウェーブがかかっています。骨格は骨太で筋肉質。がっちりとしてみえます。マズルは短めです。



アメリカ系のアメリカン・ゴールデン・レトリーバーはオレンジ色、茶色、ゴールド色の毛色が特徴です。毛並みは柔らかいストレート。骨格は全体的に細く、マズルも長め。イングリッシュ・ゴールデン・レトリーバーと比べるとスタイリッシュに見えます。

大きさ

ゴールデン・レトリーバーは大型犬にわけられます。体つきは、体高より体長が長くバランスがとれているのが特徴です。
大きさは他の犬と同様にオスのほうが大きくなるのが一般的です。

メスの体高は【54~57cm】
   体重は【24~29cm】

オスの体高は【58~61cm】

   体重は【29~34cm】

※体高とは4本足で立っている状態で地面から背中までの高さです。

上記のサイズが望ましいとされています。

性格

優しい犬種ランキングで長い間1位の座にいるゴールデンレトリーバーは飼い主にとても忠実です。鳥狩猟をしてきたゴールデン・レトリーバーは人と一緒に働くことを喜びとしていていて、人と遊ぶことを好みます。他の犬や動物、人とも友好的な関係を築きやすく番犬には向きません。性格はとても穏やかで無駄吠えもほぼありません。非常に頭が良く「盲導犬」「介助犬」「警察犬」「セラピードッグ」として活躍しています。運動能力も高く、水鳥の猟をしてきたことから水遊びを好む傾向があります。

犬の値段と飼育費用

犬の値段

犬の値段は35万円~高い犬では100万円以上。高い犬の理由は親犬がチャンピオン犬など、交配に多額の費用がかかっていたり、親の価値で左右されることが多くなります。一般的なゴールデンレトリーバーの基準を満たしていて健康な犬であれば35万円前後と考えて良いでしょう。これは、ブリーダー直営の場合です。中間業者(ペットショップ等)が仲介すると値段は高くなります。

安すぎる犬には注意

著者は犬のブリーディングをしています。ゴールデンレトリーバーなどの大型犬は、小型犬よりも「飼育スペース」「運動の量と運動スペース」「食費」「医療費」が小型犬に比べ高くなります。そこを考慮すると30万円以下で仔犬を販売することは難しくなります。仔犬の安さを追求すると食事の質、飼育スペース、衛生面や健康面にかける費用を下げる必要があります。そのため安すぎる犬を迎えるときは安い理由を考える必要があります。安い犬をお買い得だと思い購入した後、医療費等に多額のお金がかかることも珍しくありません。

極近親繁殖


(親子の交配、同じ父母から生まれた兄弟、姉妹の交配)
奇形や感覚障害という先天的な問題が生じます。免疫が低く、病気になりやすい。しつけが入りにくく、問題行動を起こしやすい。成犬になった時の体の大きさが小さくなりやすい。

親犬と早く引き離す


犬の社会化期は生後1か月~3か月です。社会化期は犬が「人」「他の犬」「他の動物」に慣れるのに適した期間になります。犬同士で遊びながら遊びのルール(甘噛みの強さなど)を覚えます。社会化期の暮らしは犬の精神面、ストレス耐性に大きく影響します。親犬や兄弟、姉妹と早く引き離すことで、後の問題行動(無駄吠え、強い甘噛み、他の犬、人と遊ぶことができない)に繋がります。

親犬、飼育環境の見学を


安さを追求すると親犬の飼育環境の衛生管理不足、運動不足、健康管理不足になることがあります。これらのストレスは親犬への影響ばかりではなく、お腹の中にいる赤ちゃんにも影響し、見た目だけではなく心身ともに健康ではない仔犬が生まれます。

仔犬をお迎えする前には、その犬が誰にどのような環境で繁殖されたのかを知ること。できれば親犬や飼育環境の見学ができるところからお迎えすることを強くお勧めします。親犬を見学することで仔犬の成長後の想像ができるのは大きなメリットになります。

飼育費用

飼育難易度

体が大きいことから飼育は難しいと思われるかもしれません。しかし、ゴールデン・レトリーバーの性格で説明した通り、とても忠実で賢い犬種であるため、しつけが入りやすく初心者向きといえます。もともと温厚で穏やかな性格のため無駄吠えもすくなく、他の犬や人とも仲良くできます。そのため、子どもがいる家庭や多頭飼いにも向いています。
一方、ゴールデンレトリーバーは好奇心旺盛でやんちゃな面もあります。仔犬の頃のしつけを怠ると、問題行動を起こすこともあります。信頼関係を築き、飼い主がリーダーであることを認識させることが大切です。

食事

食事量

食事の量は体重を40で割った数が目安になります。

犬の体重(kg)÷40=必要な餌の量(kg)

30Kgのゴールデンレトリーバーの場合
30÷40=0.75

1日の食事量は「750g」になります。
成犬の場合は1日2回の食事に分けるため、1回の食事量は750gの半分の「375g」です。

必要なカロリー

必要なカロリーは体重1kgに対して50カロリーが目安です。

犬の体重(kg)×50=必要なカロリー

30kgのゴールデンレトリーバーの場合
30×50=1500

1日の必要なカロリーは1500カロリーになります。

食事の回数

仔犬、成犬、老犬では消化器官の未熟であったり老化で負担をかけるため、食事の回数を変える必要があります。

・仔犬(0~1歳) 1日3~4回 数時間おき
・成犬(1~7歳) 1日2回   朝と夕方
・老犬(7歳~ ) 1日3~4回 数時間おき


食事の量とカロリーの計算は目安になります。犬の健康状態や1日の運動量により変える必要があるので、犬の体系を観察することが求められます。

運動と散歩

ゴールデンレトリーバーは犬の中でも運動を好む犬種です。

成犬期の散歩量

健康な犬であれば1番運動が必要な時期になります。

成犬期の散歩量の目安は
時間【30分~1時間】
距離【2~4KM】
1日2回が理想です。

散歩だけでは運動欲が満たせないこともあります。毎日の散歩に加え、定期的にドックランなどに連れていき自由に走らせてあげることが必要です。また、ゴールデンレトリーバーは好奇心が旺盛な犬種であるため、毎日同じコースを歩くのではなく複数のコースを用意しておくとストレス発散になります。

仔犬期の散歩量

仔犬の散歩の開始時期はワクチン接種後になります。ワクチン接種には個体差があり、2回で終わる場合と3回必要な場合があります。ワクチン接種後、何日から散歩させて良いかは、その犬の体調によります。獣医師に相談してください。ほとんどは2日程でお散歩デビューできる子が多いです。

仔犬期の散歩の目安は
時間【15分~30分】

仔犬期の散歩は、「リードや首輪」「外の環境や音」「一緒に歩くこと」に慣れさせることを目的とします。コースを作って歩くのではなく、同じ場所を歩くだけで十分です。仔犬の体力に合わせて15分未満でも問題ありません。座り込んで歩かないようであれば中断し、無理なく始めることが大切です。外の環境に慣れるまでは、室内遊びでストレスを発散させるのが望ましいです。

老犬の散歩量

老犬の散歩量は、その犬の健康状態や体力により大きく変わります。無理に散歩をする必要はありませんが、まったく運動しないのは体の衰えを加速させます。また、脳への刺激がすくないと認知症も進みます。散歩を嫌がるようであれば室内で軽い運動(遊び)をします。外が好きな子であれば、その子の体力に合わせてゆっくり散歩します。また、外の景色を見せてあげるだけでもストレス発散になります。


かかりやすい病気

外耳炎
(がいじえん)

外耳炎は動物病院にかかる病気の中でも最も多い病気の一つで、耳で炎症が起こった状態のことを言います。ゴールデンレトリーバーを含む垂れ耳の犬種は、通気性が悪いため外耳炎の発症率が高くなります。症状が急激に悪くなる「急性外耳炎」と少しずつ悪くなり経過が長期に及ぶ「慢性外耳炎」があります。

外耳炎の治療
外耳炎の治療には耳の洗浄に加え、多くは点耳薬で治療し、場合によっては内服薬をもちいることもあります。外耳炎は悪化すると耳の穴を取り除く大手術が必要になる場合があります。また、脳の近くでの炎症であるため脳へ波及する可能性もあるため、早期の治療が大切です。



股関節形成不全
(こかんせつけいせいふぜん)

股関節形成不全はゴールデンレトリーバーを含む大型犬に多い病気です。関節部分が変形することで股関節がうまくかみ合わず炎症を起こします。遺伝的な要因が多い病気ですが、環境や肥満、運動不足で発症することもあります。また、運動不足とは逆に激しい運動による関節への負荷でも発症します。

股関節形成不全の治療

股関節形成不全の治療には内科療法外科療法があります。どちらの治療も痛みを和らげ機能回復や進行を予防する目的があります。




胃捻転
(いねんてん)

胃捻転は胃がねじれてしまう病気です。ゴールデンレトリーバーを含む大型犬に多く発症します。遺伝的要因の他に、食後の激しい運動、早食いが原因です。胃捻転は自然に戻ることはほぼありません。発症後すぐに対応しなければ数時間で死んでしまうこともある怖い病気です。

下記の症状があればすぐに病院へ
・お腹が膨らむ
・歯茎や舌の色が白い
・苦しそうな呼吸
・空嘔吐やえずき


悪化すると呼吸困難ショック症状が出てぐったりします。



悪性腫瘍(がん)

悪性腫瘍は高齢になるにつれて発症率が高くなりますが、2~3歳の若さでも発症することがあります。悪性腫瘍は早期発見、早期治療が重要です。各部位にタダレやできものがないか、いつもと違う様子があればすぐに病院を受診すること。定期的な健康診断が必要です。


寿命

犬の寿命は一般的に小型犬より大型犬のほうが短い傾向があります。ゴールデンレトリーバーの平均寿命は10~12歳です。死因では、他の犬種に比べて悪性腫瘍(がん)が多くなります。悪性腫瘍が原因で10歳前後で亡くなることも珍しくありません。そのため6歳頃を目安に年に~2回の定期的な健康診断を行います。悪性腫瘍の早期発見、早期治療でゴールデンレトリーバーを長生きさせてあげられる確率が高まります。

ゴールデンレトリーバーの長寿ギネス記録

2020年4月24日に最高齢のゴールデンレトリーバーとして世界記録が更新されました。ギネス認定されたのはテネシー州オークランドに住む「オーガスト」年齢は20歳です。人間の年齢にすると114歳。ゴールデンレトリーバーの平均寿命が10歳前後と考えると倍近く長生きしていることになります。現在、軽度の腎不全を患っているものの年齢を考えると良好な健康状態を保てているとのこと。これからも記録を更新してほしいですね。



さいごに

ゴールデンレトリーバーは体が大きく飼育が難しいと思われがちです。しかし、ゴールデンレトリーバーはとても賢く忠実です。鳥狩猟をして人と一緒に働いていた歴史があることから、人と行動するのがとても得意な犬です。そのため、たくさんの経験をともにし良い思い出をつくることができます。友好的な性格で犬の多頭飼いや、他種の動物を飼っている家庭、子どもがいる家庭でも比較的飼いやすいでしょう。初心者にもしつけがしやすい犬種で、「ゴールデンレトリーバーは1度飼うとやめられない」とリピート率が高い犬種でもあります。そして著者も、ゴールデンレトリーバーに魅了された一人です。