声・吠え方でわかる犬の気持ち

吠えるという行動は、話せない犬にとって大事なコミュニケーションの一つ。吠える声の高さや回数、長さを使い分けて様々な感情を表現します 

今回は「犬の吠え方と気持ち」をテーマに。30年以上犬と暮してきたブリーダーが専門知識と経験をもとに、わかりやすく簡潔に解説していきます。この記事を読むことで、愛犬の声を少しでも多く理解してあげることができます。今よりもっと絆が深まります。


・ワンワン!と吠える   
・アンアン!と高く吠える 
・クンクンと鳴く     
・クーンと高い声で鳴く  
・クンクンワンワンと吠える
・ワオーンと遠吠えする  
・ウーッ!と唸る     
・キャンキャン!と鳴く  
・キャンッ!と鳴く    

【耳の動きでわかる犬の気持ち】
【尻尾の動きでわかる犬の気持ち】
【全身を使って表現する犬の気持ち】
【舐める場所でわかる犬の気持ち】
【顔の表情でみる犬の気持ち】

ワンワン!と吠える

犬の鳴き声といえばこれを連想する人が多いと思います。犬の種類によって声の大きさや太さが異なります。

・体が大きいほど「低く太い(中型犬~超大型犬)

・体が小さいほど「高く細い」(小型犬~中型犬)

同じ「ワンワン」でも「キャンキャン」と聞こえることが多い。

以上のことを踏まえたうえで、「ワンワン」の意味を解説していきます。

1.警戒している

家のインターホンが鳴ったとき、窓越しから外の人に「ワンワン!」と吠えるなど、初対面の人や慣れない音に吠えたときは警戒心の表れです。縄張り意識の強い犬ほどよく吠えます。自分の縄張りと飼い主を守ろうとしているのでしょう。よく吠える犬と吠えない犬がいますが、ほとんどが警戒吠えのことを指します。フレンドリーで警戒心の少ない犬種ほど警戒吠えは少なくなります。犬種だけではなく育て方でも警戒心の強さ、警戒吠えの頻度は変わります。

2.要求している

散歩の準備やご飯の準備をしていると「ワンワン!」や「ワン!」と飼い主を見て吠えることがあります。他にも遊んでほしいとき、不満があるときにも吠えます。慣れてる人や飼い主に吠える。また、顔を見て吠えるのが特徴です。要求吠えは要求に応えたり、叱るとさらに激しくなります。要求吠えを辞めさせたいときは、散歩の準備やご飯の準備を一旦やめたり、顔を見ない、話しかけない、反応しないことが大切です。

3.興奮している

興奮には怒り・喜び・要求などがありますが、楽しい時に喜びながら吠えるのが興奮吠えです。興奮吠えをすると気持ちが昂り、さらに興奮してしまうことがあります。興奮吠えは周りの犬にも連鎖します。犬同士で遊びながら興奮吠えをして、気持ちが昂り喧嘩に発展してしまうことがあります。一度落ち着かせることが大切です。

アンアン!と高く吠える

高めな声で「アンアン!」と吠えるのは喜びを表しています。上記で解説した通り「ワンワン!」と吠えて喜びを表現する子もいます。飼い主が帰宅したとき、ご飯の準備をはじめたときなどによく見られます。喜び吠えをしながら尻尾やお尻を振って来る姿はとても愛らしいですね。

クンクンと鳴く

クンクンと鼻から出る鳴き声は寂しさや不安、甘えの表れです。仔犬は母犬を呼ぶときに「クンクン」と鳴きます。飼い主のことを母と思っている子は呼ぶ目的で「クンクン」と鳴くことがあります。成犬になっても鳴くことがあります。また、「クンクン」には要求も含まれますが、助けてほしい、そばにいてほしいなど甘えや寂しさがメインの要求になります。

クーンと高い声で鳴く

「クーン」と高い声で鳴くのは上記で解説した「クンクン」と似ていて、寂しさや甘えを表現しています。叱ったときに見られるのがこれにあたります。仔犬の時期は特に多いですが、成犬になってからも鳴くことがあります。

クンクンワンワンと吠える

要求吠えです。顔を見ながら吠えることが多いです。寂しさや甘えよりの要求に多くみられます。

ワオーンと遠吠えする

オオカミに近い犬種によくみられます。遠吠えは本能による行動です。オオカミが遠吠えする理由は群れに合図を送る目的があります。ですが人と暮らす犬の遠吠えは他にも意味があります。

1.コミュニケーション

飼い主がいないとき、飼い主を呼ぶ目的で遠吠えをすることがあります。他には飼い主が出かけようとするのを察して遠吠えすることもあります。寂しさからくる遠吠えには不安や恐怖をを表現していることが多いです。分離不安症の可能性もあり、治療が必要な場合もあります。獣医師に相談することをお勧めします。

2.縄張りの主張をしている

縄張り意識の強い犬にみられます。敵が自分の縄張りに侵入してくるのを防ぐ目的があります。遠吠えの頻度が高いようであればこの可能性が高くなります。

3.音に反応している

サイレンなどの特定の音に対して遠吠えするなら、その音に恐怖を感じているか、楽しんでいる可能性があります。尻尾と耳を垂らしていたら恐怖を感じていて、尻尾を振り喜んでいる様子なら楽しんでいます。また、騒音の音を他の犬の遠吠えと勘違いしている可能性もあります。

ウーッと唸る

1.警戒心や恐怖心

犬は警戒心や恐怖心が強い動物です。優れた聴覚を持つ犬にとって掃除機や雷の大きな音、大きな人の声でも恐怖の対象となり唸ることがあります。尻尾を振りながら唸っていると喜んでいたり遊んでいるようにも見えますが、尻尾の振りは喜びからではなく興奮からくるものです。そのため、遊んでいるのではなく強く警戒していると思ってください。犬を𠮟ったときに唸るのは、反抗している訳ではなく恐怖心からきています。

2.縄張り意識

家に家族以外の人が来たときに唸ったり吠えるのは、人を侵入者とみなし縄張りを守ろうとしています。この縄張り意識は、餌やおもちゃにも発揮されます。縄張り意識からくる唸りは攻撃性が高いので、おもちゃと取り上げたり叱るのは良くありません。一度落ち着かせることが大切です。

3.体の不調や痛み

体の不調や痛みで唸ることがあります。唸ることで体の不調を伝えようとしているのです。触られることに嫌がったり、唸ることがあれば痛みと恐怖心の可能性が高くなります。体の不調による唸りの表現は高齢犬になってから現れることもあります。

4.母性本能

妊娠中から子育て中に犬が唸るようになることがあります。仔犬を外敵から守ろうとする母性本能が働くからです。信頼している飼い主であっても母犬にとっては攻撃対象になることがあります。子育て中の犬はストレスを抱えています。無理にならそうとはせず、見守ることが大切です。母犬のストレス軽減と仔犬の衛生面に配慮し、同居の犬を近づけないようにします。

キャンキャンと鳴く

恐怖心からくる興奮吠えに多くみられます。敏感な犬は慣れない音などでも危険を察知するとキャンキャンと鳴きます。
また、継続的な痛みがあるときにキャンキャンと鳴き続けることがあります。体の一部を舐めていたり、犬の格好や食欲をよく観察し早めに対応してあげることが求められます。

キャンッ!と鳴く

突然高い声で「キャンッ!」と鳴くときは痛みを感じたときです。継続的に「キャンキャン」と鳴くようであれば獣医師に相談することが求められます。他には、何かを要求しているときに鳴くこともあります。犬のしつけの記事に詳しく書いてありますが、この要求吠えには反応しないようにしましょう。仔犬同士で遊んでいるときには「キャンッ!」と鳴き、これ以上強く噛むのは痛いと教え合い、社交性を育んでいきます。

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