犬が地面や物、飼い主に体をこすりつける理由。頭の擦りは要注意!【2023年最新版】

犬が楽しそうに地面や芝生にスリスリしてる姿は可愛いものです。そんな可愛いスリスリ行動にもしっかりと意味があり、飼い主へのコミュニケーションや感情を表現しています。そしてもう1つ、スリスリ行動には体の異変や病気が原因の場合があり、実は注意してみなければいけない行動の1つです。

今回は「犬が体を擦る行動」をテーマに、30年以上犬と暮してきたブリーダーが、専門知識と経験をもとに「犬が体や頭を擦りつける理由」「注意しなければいけないこと」を詳しく簡潔に書いていきたいと思います。この記事を読むことでスリスリ行動の意味を知りたい方、病気の知識を得ることで愛犬を守りたい方に役立ちます。

・地面や物に体を擦りつける理由  
・飼い主に体を擦りつける理由   
・他の犬に体を擦りつける     
・擦ることで疑われる病気     
・さいごに            

地面や物に体を擦りつける理由

においをつけるため

犬には「大好きなにおい」を体につける習性があります。この「大好きなにおい」の中には人が嫌う腐敗臭も含まれます。昔、狩りをした動物の腐肉を食べていた犬にとって腐敗臭は魅力的なにおい。他には糞や尿、泥やミミズの死骸のにおいも好きな犬は多いです。

においを消すため

犬は本来、群れで狩りをする動物です。獲物に気付かれないように獲物の糞や尿のにおいを体に付ける習性がありました。その習性が今も残っていると考えられます。また、自分の体についている不快なにおいを取りたいときに体を擦りつけることもあります。シャンプーの後、体を擦りつけるのもこれにあたります。実はシャンプーやブラッシング剤などの人間が好むにおいは、犬が嫌いなことが多いようです。犬の体臭を消すほどの強い香りは、犬にとっては刺激が強いと考えられます。また、自然界にない香水のような香りのシャンプーは嫌う犬がほとんどです。

喜びを表現

散歩に出たときや遊んでいる最中に地面に体を擦りつける行動は、においをつける目的よりも嬉しさからくるものが多いです。天気の良い日の芝生の上で転がるのも幸せを感じているのでしょう。

飼い主に体を擦りつける理由

犬が飼い主にスリスリ体を擦り付けてくるのは大好きのサインです。大好きな飼い主のにおいを自身の体につける目的があります。また、「甘えたい」「かまってほしい」「遊んでほしい」という気持ちがあります。

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他の犬に体を擦りつける

犬同士で遊んでいるとき、相手と顔や体を擦り合うことがあります。これは、相手のことを大好きだと愛情表現しあっています。遊びの前であれば、会えたことの喜びを伝えています。大好きな飼い主のにおいを自身の体につけるのと同じく、大好きな友達のにおいを付ける目的もあります。

擦ることで疑われる病気

異常なほど擦りつけたり同じ場所を擦りつける場合は病気の可能性があります。部位ごとにわけてみます。

・体
・頭
・目
・耳
・お尻

体の一部を何度も擦りつけている場合には「ノミやダニなどの外部寄生虫がついている」「アレルギー」「皮膚感染症」「傷や怪我」が疑われます。よく観察し、必要であれば獣医師に相談することが求められます。

頭は擦るというより「押し付ける」に近い行動をしたとき。壁に頭を押し付ける行動は【ヘッドプレス】と呼ばれていて「強い頭痛」「脳の腫瘍」「中枢神経の損傷」「肝臓の異常」の疑いがあります。ヘッドプレスは頭や体に異常が起きている行動の代表です。放置すると深刻な事態になる病気がほとんどです。犬がヘットプレスをしていたらすぐに病院につれていく必要があります。

目だけを擦りつけていたり、前足でさわる仕草は目に異常がある場合に多くなります。最も多い目の病気は「結膜炎」です。続いて「角膜炎」「チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)」「ウイルス感染」「アレルギー」などがあります。片目だけであればゴミや怪我など物理的なものが原因の場合もありますが、いずれにしても獣医師に見てもらう必要があります。

「耳だけを擦りつける」「前足でさわる」「頭を振るまたは傾ける」行動は耳に異常がある場合に多くなります。耳に多い病気は「異物」「腫瘍」「耳ダニ」「アレルギー」「アトピー性皮膚炎」「接触性皮膚炎」「外耳炎」です。どれも早期の治療が必要です。外耳炎は日常的にみられる病気の一つで、湿度が高い時期にかかりやすい病気です。特に垂れ耳の犬の発症率が高く、症状が急激にひどくなる「急性外耳炎」。少しづつ悪くなり経過が長期に及ぶ「慢性外耳炎」があります。

お尻

お尻を擦りながら歩く姿は可愛らしいですが、犬自身にはストレスや不快感、痛みがあるときにとる行動です。主に「皮膚炎」や肛門の病気「肛門嚢、肛門嚢破裂」「寄生虫」があります。排泄時に痛がる、お尻を触るのを嫌がる、出血などの症状が一緒にみられる場合には病院を受診する必要があります。

さいごに

可愛らしいスリスリ行動はコミュニケーションや愛情表現でもあり、病気のサインです。愛犬の行動を日頃からチェックし、異変にはいち早く気づいてあげたいですね。